前回、サルトグラフィとは、
「その人は、健康(的)であったからこそ、素晴らしい創作活動をなし遂げた。」
という天才たちの人生の物語(ストーリー)を解き明かす学問であると書きました。
サルトグラフィは「健康の記録」の意味ですから、
「健跡学」または「康跡学」という訳語になりますが、
どちらもパッと頭に入りにくくてなじめませんね。
なので、「サルトグラフィ」というカタカナ語を使っています。
さて、そのサルトグラフィで参照されるのが、
医療人類学者のアーロン・アントノフスキーが提唱した「健康生成学(サルトジェネシス)」です。
アントノフスキーは、第二次世界大戦後に、ナチスによる強制収容を生き延びた人々へのインタビュー調査を行い、(戦争経験が人びとにどのような悪影響を与えたのかじゃなくて)戦争経験があった「にもかかわらず」どうして健康的な人生を送ることができたのか、について考察しました。
そして、いくつもの健康要因・因子を抽出し、それらを概念化し、最終的に「健康生成学(サルトジェネシス)」として発表したのです。
アントノフスキーが提唱した概念は、首尾一貫感覚(sense of coherence:SOC)ですが、その詳細については別の記事で解説しますね。
現在、さまざまな健康生成的な概念がその傘下に含まれています。
を参照してください。
ちなみに、これらの概念も適切な日本語がなくて、カタカナ語になっているものがほとんどです。
田中伸一郎(2024.11.25)
Comments