病跡学(パトグラフィ)とは、
「その人は、病気があったのに、あるいは病気があったから、素晴らしい創作活動をなし遂げた。」
という天才たちの人生の物語(ストーリー)を記述する学問です。
しかし、天賦の才能と創造性のすべてを病気=精神疾患・精神障害に由来するものだと考えるのはちょっと無理があります。
病気が多少影響したかもしれないけれども、やはり健康(的)だったからこそ、偉大な仕事をやり遂げられたのではないでしょうか。
そこで、病跡学(パトグラフィ)と反対に、
サルトグラフィ(salutography)では、
「その人は、健康(的)であったからこそ、素晴らしい創作活動をなし遂げた。」
という天才たちの人生の物語(ストーリー)を解き明かしていきます。
すなわち、サルトグラフィとは、健康の視点から、対象となる芸術家、歴史的人物、天才たちを記述する学問なのです。
精神科医よりもむしろ、心理士・心理師、看護師・保健師、精神保健福祉士のみなさんのほうが「健康から考える」ことが得意かもしれませんね。
ぜひ、自分が愛好する対象を選んで、健康の視点から、その人の人生の物語(ストーリー)を読み直す「サルトグラフィ」に挑戦してみてください。
ちなみに、精神神経学雑誌の2020年1月号で「健康生成の病跡学ーサルトグラフィの試み」という特集が組まれています。無料でダウンロードできますよ。
田中伸一郎(2024.11.21)
写真:草間彌生「愛はとこしえ十和田でうたう」
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